マラウイの時間割②ー日本に無い授業(農業、聖書学etc.)

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前回の記事ではマラウイの時間割について知るために、

赴任校の時間割を国内外の時間割と比較しながら紹介しました。

マラウイの時間割➀―隣国ザンビア・タンザニアとの比較

今回の記事では外部との比較ではなく、時間割の内側に目を向けたいと思います。

そしてマラウイの学校でどのようなことが教えられているのかを、

特に「日本と違ったところは何か」という観点から紹介したいと思います。

日本では珍しい授業

遠く離れているとは言え、

マラウイの中高等学校でもおおよそ日本と同じ科目を勉強していると言えます。

例えば国語、数学、生物、物理、化学、社会、政治・経済、歴史、英語、家庭科など、

私たちも習ってきたような科目はもちろんマラウイでも教えられています。

しかし文化・生活習慣の違いから

日本の公立校、特に普通科の高校ではなかなか教えられていない教科も見られます。

例えば私の赴任校では

  農業 
  ライフスキル 
  聖書学 
  ライブラリータイム 

など、日本ではあまり見慣れない教科が時間割表に表記されています。

このうちライブラリータイムを除く3つは国家試験の科目にも含まれており、

マラウイの公立校の普通科としてごく一般的な科目として扱われていることがわかります。

これら4つの日本にとっては珍しい教科で

マラウイの生徒たちがどのようなことを習っているのか順に説明してみたいと思います。

農業

農業はマラウイ国民と切っても切れない関係にあります。

もともと農耕民族であったマラウイは

だいたいどの家庭でも農地を所有しています。

そして現在も9割近くの国民が農業従事者とされており、

また例えば教職等の手に職のある者であっても

時間のあるときに畑仕事をするといった形で、

なにかしら農業(主に主食であるトウモロコシの栽培)に関わっています。

つまり、

農業の知識はマラウイ国民にとって生きるための一般教養であると言えます。

学校が国家の産業の形態に合わせた学習内容を提供していると考えるならば、

マラウイの”農業”という科目は、日本の”情報”という科目のような

位置付けなのかもしれません。

(マラウイでもComputer Studiesという日本の情報のような授業があるようですが、

パソコンを校内に設置できるような都市部の学校でしか行われていない模様)

学習内容としては植物栽培の知識はもちろんのこと、

豚の飼育方法などの畜産に関わることも農業の授業として習うようです。

さらに高学年ではマーケティングや

ビジネスマネジメントといった内容にも触れることになっており、

かなり実用性のある教科といった感じがしました。

ライフスキル

この授業はまさに生きるための技術を習う授業、とでも言いましょうか、

なかなか日本の科目において置き換えることができません。

例えば、目次のページにある章をいくつか見てみると

 自己認識と自尊心
 ストレスマネジメント
 対人関係
 意思決定と問題解決
 コミュニケーション
 アサーティブネス
 共感と寛容
 クリティカルシンキング(批判的思考)
 クリエイティブシンキング
 アントレプレナーシップ(起業に関わる考え方)

といったタイトルが並んでいます。

とても面白そうです!

今度授業を見学させてもらおうと思います。

一見すると大学の一般教養の授業で取り扱われそうな内容にも思えます。

また重要な学習内容の一つとして、

HIV/AIDSのことをライフスキルの授業の中で習うということがわかりました。

最近は増えてきているように思いますが、

多くの途上国は学校教育の中に保健体育(Physical Education)というものがありません。

また、あったとしてもキリスト教が多数派を占める国では宗教的な背景もあり

性教育を学校で行うということはなかなか難しいそうです。

マラウイは途上国でありなおかつキリスト教の国家でもあるため、

保健体育の授業もなければ性教育のような性感染症について知る機会も多くはないでしょう。

(マラウイ国内でも体育をする学校はあるものの

 性教育の有無に関しては行われていない可能性が高い)

そういった意味では未だエイズの蔓延するマラウイにとって

ライフスキルという授業はとても重要な役割を果たしているのかもしれません。

聖書学

聖書学と訳すべきなのか迷いましたが、

マラウイにはBible Knowledgeという授業があります。

聖書の内容を勉強していくというもので、

公教育の中にキリスト教文化が入っているあたりに新鮮さを感じました。

しかしながら、批判するわけではありませんが

聖書の内容を問う科目を国家試験として扱うのはいかがなものかと感じております。

キリスト教が多数派を占めるものの、マラウイにはイスラム教徒もいます。

特に私の滞在する地域ではその割合が高く、

3-4割の住民がイスラム教徒であると同僚の先生から聞きました。

Bible Knowledgeの授業はもちろんイスラム教徒の生徒は受けなくてもよく、

主にキリスト教徒の生徒のみが受講します。

国家試験においてこの授業は選択科目であるものの、

イスラム教徒は自動的に選択肢が1つ減ることから

少し不公平な状況となっているのでは、と思ってしまいました。

ライブラリータイム

ライブラリータイムとはいわゆる図書館での自習の時間です。

おそらく全ての学校がこの時間を設けているわけではないのでしょうが、

協力隊の理数科教師が勤務する多くの学校ではこの授業が時間割に見られました。

当ブログの記事の中でも何度も述べてきましたが、

赴任校の生徒たちは教科書というものを持っていません。

よって学校の図書館にある教科書を参考にし

予習・復習をする時間をあらかじめ用意しているのです。

また図書館を出る際には

マラウイの空港の出入りよりも厳重な所持品のチェックが行われています。

本はマラウイではとても高価なもので、

生徒による教科書の盗難が少なからずあるそうです。

(首都で見た物理の本は雇っているガードマンの日当3日分に相当していた)

なんとも言えない現状ですが、真剣に勉強をする生徒にとって

このライブラリータイムは貴重な時間だと言えるでしょう。

実用的な授業

マラウイの時間割を改めて眺めて、日本よりも実用的であるなと感じました。

マラウイの高等教育(大学等)進学率は1パーセントに満たないと言われています。

よって多くの生徒にとって中高等学校の卒業後はもう立派な社会人ということになります。

そのこともあって授業内でも

基礎知識としての内容(国語や数学、理科といった科目)に加え、

農業やライフスキルのような直接的な実用性の高い科目が

日本よりも多くなっているのかなと感じました。

またそちらの方がマラウイという国の状況をうまく反映できていて、

教育が国民の生活におけるニーズを満たせているようにも思いました。

この記事のまとめ!

  マラウイには日本では珍しい教科(農業、聖書学etc.)が存在する

  日本に無い科目が日本に無い需要を満たす役割を果たしている

              ⇒ 農業生産、エイズ予防、宗教における知識の補完

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