時間を守らないマラウイの人々に起こった変化

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青年海外協力隊の宮崎充正です。

マラウイ赴任から早10ヶ月、2年ある活動期間の40%が終了しました。そんな中、最近になって勤務する学校に嬉しい変化が見られたので紹介したいと思います。

タイムブックの導入

今学期からタイムブックと呼ばれる、朝職員室に到着した時間を書き込むノートが用意されました。新学期となり職員会議が開かれたのですが、その際に校長先生が始業時間を記録する必要性を感じ設置に至ったと説明しました。

別に喜ぶことではないのでは?と思われるかもしれませんが、マラウイの学校現場においては大いなる変化であると思っております。

途上国の時間の感覚

そもそも多くの発展途上国では時間が非常にゆっくりと流れ、日本のように時間に神経質ではありません。マラウイも例外ではなく、むしろ途上国の中でもゆっくりしすぎているようにも感じられる程で、ミーティング・職員会議も1時間、もしくは2時間と遅れてしまうことも日常茶飯事です。

ただ時間通りに始まらないとわかっていても、私の日本人のアイデンティティーが時間を守らないことを許さず、必ず時間通りに集合場所に行くようにしています。最近では1時間以内には始まらないということが分かってきたので、そのような機会にはKindleを必ず携帯するようにしています。

こうした背景にあるマラウイの学校では、遅刻・無断欠席は生徒だけの問題行動ではありません。教員にも当てはまる深刻な問題です。

前の学期には同僚の教員には告げずに授業時間に廊下を歩き回り、時間通りに授業が実施されているかを調査していました。そんなある1日の、全72コマの授業実施状況が以下のようなものです。

時間通りに始まった授業は6割程度、2割は40分授業の内の最初の10分以上を遅刻し、2割は授業が実施されておりませんでした。その割に終業時間はそれなりに守られている(というか就業時間よりも早く終わる場合も多数)という現状です。

したがって総学習時間は定められたタイムテーブルの想定をはるかに下回ります。日本では絶対にありえない状況です。

先生たちになぜ時間通りに行かないのかという遅刻の理由を聞くと、「生徒が時間通りに教室にいないから」と言う返答が目立ち、逆に生徒になぜ時間通りに来ないのかと聞くと、「先生が遅刻して来るから」と言う者もいました。もはや両者ともに子どもの言い訳のようにも聞こえてしまいます。

生徒のお手本であるべき教員がこのような状態では、子どもたちも大人になった時に時間なんて守ろうと思えないでしょう。

日本の現職教員が見れば呆れ果ててしまってもおかしくないことだと思いますが、どうにかならないものかなと思いこれまで些細ながらアクションを起こしてきていました。

遅刻・授業未実施時限の分析

基本的に教員の遅刻は毎日見られますが、実際にどの時間帯にどれくらいの遅刻が発生しているのかを知るために、自分の授業のない日に校内を歩きまわり状況をより詳しく把握しようと試みました。

すると先程の表からもわかりますが、明らかに1時間目と2時間目、そして昼休み後の6時間目に授業の実施状況が悪化していることが判明しました。この三つの時間帯は半数以上の授業が正常に行われていません。

つまり朝の授業はだらだら始まり、5時間目終了後にある昼休みでまったりしてしまい更に遅れるという構図が見えてきました。

また歩き回っているうちに、寮生に対して用意される朝ごはんの時間が遅れがちであり、それが生徒の1限目の授業への遅刻に繋がっているという現状も見えてきました。

寮生が半分を占めるこの学校で、それらの生徒が遅刻して1限にいないのは大きな問題です。朝教室に行って生徒数が半数にも満たないのであれば、教員が1限に時間通りに行って授業をするモチベーションも上がりません。

管理職へのプレゼン

あまりこういうことを職場の最年少が、しかも外部からやってきた者であるにも関わらずガミガミ言うのはどうかと思いますが、とにかく真面目に1時間目の頭から教室に来ている生徒に申し訳ない!という思いをもって管理職に話を持ちかけました。

先程の表を用いながら、

・1,2,6限の時間帯に教員の勤務状況が悪くなっている

・この時間帯に職員室に来て、先生たちに授業に向かおうと一緒に声かけをしてほしい

・寮生の朝ごはんの時間が遅れがちで、それが遅刻に繋がっている

といった内容を伝えました。

マラウイ人は基本的に優しく、こちらから「話がある」などと話を持ちかけると親身に耳を傾けてくれます。そして大抵の提案は「そうだ!その通りだ!」と賛成の意を示してくれます。

しかしその後何か新たな行動を起こすことに繋がるかと言えば、必ずしもそうではありません。むしろほとんどの場合は何も起こらないのではないでしょうか。(他のマラウイ隊員に聞いてみたい)

改善策を示して、ここから行動を実際に起こすための更なる一手が必要かなと感じていました。

アクション!

そんな時に起こったのがタイムブックの設置でした。こちらからの働きかけに対し、校長自らがアクションを起こしてくれたことがとても嬉しかったです。

その行動に後押しすべく、職員室に時計を設置しました。理科室に使われていない時計があったということを覚えていたので、すぐさま引っ張り出してきて職員室に置くことにしました。配属先の学校には本当に一つも時計がなかったので、確かに時間の管理が難しいと言える環境でした。

設置から2週間 その成果は?

タイムブックの設置からしばらく経ちました。どのような出勤状況であったか二週間分のデータをまとめてみたいと思います。

私の学校には21名の教員と2名の用務員、計23名が在籍しています。校長は未記入なので、22人の職員のある2週間分([月~金×2週] - [祝日1日]、よって9日分)の勤務状況を表にまとめてみました。

もちろん私は無遅刻で、JICA関連のミーティングや公務もなかったので無遅刻・無欠席の9日間となりました。そして人にもよりますが、マラウイ人の先生に関して言えることは、

・あまり時間を守る気がない

・そもそも時計を見ていない(タイムブックに適当に早めの到着時間を記入する)

・タイムブックがあっても自分の授業のある日しか来ない人も多い

ということでした。

元々時間に縛られない生活しかしていなかった人々なので仕方ないのかなとも思いつつ、こうやって職場のリーダーである校長の決めた意向に全く罪悪感なしに背く様子に、少し残念な気持ちを覚えました。

しかしまだまだこれからです。マラウイ人の時間に対する感覚は長い年月をかけて形成されたはずなので、変わる場合にも長い移行期間が必要であるはずです。今はタイムブックが用意されただけでも喜ばしいことであるはずです。今後タイムブックの記録をまとめ、また管理職に相談を持ちかけようと考えています。

次の一手で、なんとか朝からきている真面目な生徒が損を見ないような状態を作り出せるようにできればいいかなと、日々模索しながら過ごす毎日です。最悪自分の授業の無い日は無断欠席でもいいので、せめて自分の受け持つクラスだけでも時間通りこなす「責任感」を芽生えさせられたらと考えております。

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