「アルケミスト」はなぜこれほど名作なのか

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(本記事はパウロ・コエーリョ著「アルケミスト」について書かれています。内容を知りたくない方は閲覧注意)

格言多き名著「アルケミスト」

 「僕の心は、傷つくのを恐れています」ある晩、月のない空を眺めているとき、少年は錬金術師に言った。

「傷つくのを恐れることは実際に傷つくよりもつらいものだと、おまえの心に言ってやるがよい。夢を探求しているときは、心は決して傷つかない。それは、追求の一瞬一瞬が神との出会いであり、永遠との出会いだからだ」

「夢を追及する一瞬一瞬が神との出会いだ」と少年は自分の心に言った。「僕が真剣に自分の宝物を探しているとき、毎日が輝いている。それは、一瞬一瞬が宝物を見つけるという夢の一部だと知っているからだ。本気で宝物を探しているときには、僕はその途中でたくさんのものを発見した。それは、羊飼いには不可能だと思えることに挑戦する勇気がなかったらならば、決して発見することができなかったものだった」

青年海外協力隊の宮崎充正です。つい最近、パウロ・コエーリョの不朽の名作「アルケミスト」を読みました。

言わずと知れたこの名著を今さらになって初めて読んでみたのですが、考えさせられる言葉が数多く、ブログで紹介してみようという気になりました。子どもでも読める自己啓発本、もしくは哲学書のような感覚で楽しめ、Kindleですぐに読み始めることができるので、興味を持った方は是非お試しください。

ここで物語のあらすじや筆者の紹介を行うのが普通のブログだと思うのですが、そんなものは他のブロガーさんが書いている記事やWikipediaを参考にしていただいた方が正確で情報の幅も広いと思うので、基本的な情報の提供はそちらに委ねたいと思います。

冒頭に載せた言葉が一番好きなのですが、他にも心に残った言葉があったので少しだけ紹介させていただきます。 

「結局、人は自分の運命より、他人が羊飼いやパン屋をどう思うかという方が、もっと大切になってしまうのだ」

「地球上のすべての人にはその人を待っている宝物があるのです」と彼の心は言った。「私たち人の心は、こうした宝物については、めったに語りません。人はもはや、宝物を探しに行きたがらないからです。私たちは子供たちにだけ、その宝物のことを話します。そのあと、私たちは、人生をそれ自身の方向へ、それ自身の宿命へと、進んでゆかせます。しかし不幸なことに、ごくわずかの人しか、彼らのために用意された道――彼らの運命と幸せへの道を進もうとしません。ほとんどの人は、世界を恐ろしい場所だと思っています。そして、そう思うことによって、世界は本当に恐ろしい場所に変わってしまうのです。

 ですから、私たち人の心は、ますます小声でささやくようになります。私たちは決して沈黙することはありませんが、私たちの言葉が聞こえないように望み始めるのです。自分の心に従わないばかりに、人々が苦しむのを、私たちは見たくないからです」

「なぜ、人の心は夢を追い続けろと言わないのですか?」と少年は錬金術師にたずねた。

「それが心を最も苦しませることだからだ。そして心は苦しみたくないのだ」

なぜアルケミストは読まれ続ける一冊なのか?

アルケミストが書かれてからすでに数十年もの時が過ぎていますが、現代でも色褪せないベストセラーとして多くの世代から支持を得ています。その人気の理由に関して考えた際に思い浮かんだのが、アルケミストは「圧倒的な自己投影のしやすさ」によってその魅力が引き出されているのではないかという考えでした。

アルケミストの物語は、一言でいうと、スペインの少年サンチャゴが羊飼いをやめて、エジプトのピラミッドにあるという宝探しをするというストーリーです。その設定に現代社会での生活とのオーバーラップはあまり見出せないのですが、読んでいくと「自分もそういう気持ちになったことがある」という感覚を頻繁に覚えます。

続けていた何かをやめる時の感覚、新たな世界への第一歩を踏み出す日の感覚、見知らぬ人・モノに囲まれる感覚、恋人を置いて遠くに旅立つ感覚、そして物語のテーマである夢を追う感覚、また自分の夢を曲げてゆく感覚。

生きていくうえで誰もが出会うであろう感覚に、サンチャゴ少年は旅の中で出会っていきます。その一つ一つの体験に、自身の今の境遇、もしくは過去の経験を投影することが容易にできてしまうのがアルケミストの最大の魅力なのでしょう。「今の自分もサンチャゴと同じだ」「あの時の自分はこんな気持ちだったな」と、皆さんも作中のいくつかのシーンで感じるはず。そのオーバーラップが本書の肝なのです。

人生において普遍的に起こるイベント(旅立ち・出会い・夢etc.)に関して共感できる表現が多く存在するため、時代を超えて多くの人々の自己投影が可能となった作品なのだと感じました。

余談ですが、アルケミストは男女間で感じ方が大きく違ってくるのではないかとも思いました。主人公が少年ということもあるのですが、色んなものに素直に影響を受けやすい中2病男子はハマりやすく、多くの場面で自己投影ができ120%作品を楽しめることだと思います。

逆に物語に入り込むことができなければ、アルケミストの面白味は半減することかと思われます。そういった意味では、現実的で感情移入よりも一歩引いた視点から物語を眺めることを重視する人にとっては、本書は奥深さのない宝探しストーリーとなってしまうのかもしれません。

記事のまとめ!

「アルケミスト」は自己投影のしやすさゆえに不朽の名作

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