本格的に任地にて理科教員としての活動が始まり早くも3か月が経ちました。
つい先日は「活動報告書」をJICAに提出し、
配属先のこと、これまでの活動、そして今後の活動予定について考える機会を持ちました。
活動報告書とはボランティアが2年間の間に何をしてきたかを記すもので、
下記の3つのことを目的とし、派遣期間中5回の提出が義務付けられています。
1.ボランティア自身が自己の活動の管理及び評価を行う
2.事業関係者が情報を共有し、類似案件にフィードバックする
3.情報を広く国民へ開示する
(JICAボランティア・ハンドブックより)
3の『情報の開示』とあるように、
青年海外協力隊事業は納税者の方々の理解があってこその活動であるため、
なるべく多くの方に見てもらえるようブログを通じて開示したいと思います。
今回提出した第1号報告書は
・報告書要約
・活動地域及び配属先の概要
・ボランティアが所属する部局の概要
・配属先のニーズ
・活動計画準備状況
・受入国の印象
を記したものです。
参考になるようなことは書けていないかもしれませんが、
目を通していただいてフィードバック等をいただけたら大変嬉しく思います!
1.活動地域及び配属先の概要
(1)活動地域概要、抱える問題
■任地… Ntaja(マラウイ南東部のマチンガ県に属する)
■抱える問題… 十分に生活できるものの快適な環境とは言えない
(2) 配属先の事業内容、組織体制(人員配置状況)
■配属先… Mbenjere Secondary School(日本の中学3年~高校3年に相当)
■人事配置… 24名の教員が在籍、うち6名が理系科目を担当
(3) 配属先の援助受け入れ実績
■JICAボランティアの受け入れ… 家政隊員(2009-2011)、理数科隊員(2013-2015)
2.ボランティアが所属する部局の概要
(1)ボランティアが所属する部局の事業内容及び課題
■事業内容… 数学・理科・農業等の科目を担当
■課題… 教員の遅刻・無断欠席の多さ、国家試験における合格率の低さ
(2) 同僚の人数及び技術レベル
■同僚の人数…理科教員 6人
■技術レベル… 大きな問題は見られない
3.配属先のニーズ
(1) ボランティアに対して期待している内容
■4つのニーズ
- 理科の授業の実施
- 国家試験における合格率の改善
- 教員研修への参加
- 担当地域の学校の訪問、および理科教育における指導へのアドバイス
(2)当初要請時のニーズからの変更点
■特になし
4.活動計画準備状況
■学内活動… アンケートの結果より週末課題を与えることが決定
■学外活動… 担当地域の学校の巡回を開始
5.受入国の印象
■国民性… 温厚で優しい
■文化… 挨拶をすることが人間関係の構築において重要
■娯楽… サッカー
(1)活動地域概要、抱える問題
任地であるNtajaはマラウイ南東部のマチンガ県に属する村であり、主要都市であるLiwondeから車で北東へ約1時間の距離に位置する。
必要最低限の物資は市場にて調達可能であるが、活動地域内のみでは入手できないものも多い。また断水と停電が頻繁に起こるため、生活するにあたり常に飲用水等の備えが必要である。
(2) 配属先の事業内容、組織体制(人員配置状況)
配属先のMbenjere Secondary Schoolは生徒総数約600名、教員数24名の4年制中高等学校(日本の中学3年~高校3年に相当)であり、担当学年の1クラスあたりの生徒数は60人前後である。
本校は所属するMbenjere学区のリーダー校であることもあり、教員数・設備面での問題は他の学校に比べ少ないように感じられる。また2教室ある理科実験室には基本的な実験器具・薬品が常時揃えられている。
理系科目を担当する教員は6名在籍しており、多くの教員が複数の科目を担当している。しかし教員1人当たりの授業数はそれほど多くはなく、授業準備に十分な時間を費やすことができている。
(3) 配属先の援助受け入れ実績
JICAボランティアとして2009年から2011年まで家政隊員が、2013年から2015年まで理数科隊員が派遣されていた。
(1)ボランティアが所属する部局の事業内容及び課題
所属するScience Departmentは数学・理科・農業等の科目を担当している。理科実験室の設備はマラウイ国内においてはかなり恵まれていると感じられ、他の教員もある程度は使用しているように見受けられる。
しかし学校の設備は十分に整っているように感じられるものの、全体として教員の勤務状況は良好であるとは言えず、授業への遅刻・無断欠席が目立つ。ある1日の全学年、全授業の授業実施状況を調査したところ、時間が守られて実施された授業は6割程度で、残りの4割のうち2割は教員が遅刻し、もう2割は授業が実施されていなかった。
また前年度の国家試験においては、理系科目の合格率が文系科目の合格率を大きく下回っている。そのため生徒の理科や数学に対する苦手意識をなくすことも課題の1つとして挙げられる。
(2) 同僚の人数及び技術レベル
理系科目を教える教員は6名であり、ほとんどが40歳以上のベテラン教員である。指導科目における知識・技術等に関して大きな問題は見られず、各々が授業スタイルを既に確立させているといった印象を受ける。
(1) ボランティアに対して期待している内容
配属先からの要請内容は下記の4点である。
- 理科の授業の実施
- 国家試験における合格率の改善
- 教員研修への参加
- 担当地域の学校の訪問、および理科教育における指導へのアドバイス
日常業務として①と②を、不定期の活動として③と④を行うことが当面の方針となった。現在はForm3に対し週8コマの物理化学の授業を担当しており、教員の異動がない限りコマ数の増減はないものと考えられる。また②に関して国家試験の合格率向上を目指し、学校全体として努力している様子が顕著に見られる。学期間の2週間の休みをなくし、国家試験の受験生に対し補習授業を行ったことなども記憶に新しく、自分の受け持つ科目から国家試験の合格率改善に寄与できればと考えている。
④の担当地域の学校への訪問に関しては、配属先側から何かを依頼されたことはなく自発的に行動を起こすことが望まれている。
(2) 当初要請時のニーズからの変更点
特になし。
担当学年の物理化学受講者全員に対し、生徒実態調査と題した無記名のアンケート調査を実施した。
その結果から、授業に対する意見として「宿題を増やすべきだ」や「定期的にミニテストを実施すべきだ」という回答が多く見られた。これまでは課題を極力与えないようにしていたが、アンケートの回答より生徒が更に多くの演習問題を解くこと希望していることが明らかとなった。
また同僚教員に確認を取ったところ、週末に宿題を出したり、Weekend Testという小テストを実施したりすることによって生徒の理解度を確認し、かつ学習内容の定着を図っていることも判明した。アンケートの回答を鵜呑みにするわけではないが、今後は定期的に国家試験の過去問集から問題を抜粋し、週末課題として生徒に与えていく予定である。
加えて担当地域の近隣の学校への巡回も開始する。配属先であるMbenjere Secondary Schoolは所属する学区のリーダー校であり、施設面や人材面での問題が少ないように感じられる。他校の様子を知ることにより学区内の新たなニーズや問題点を発見することを狙いとし、他校の状況も加味しつつ今後の方針の決定に役立つ情報収集を行う。
マラウイ共和国はアフリカ南東部に位置し、独立以後1度も戦争・内線を経験したことがないことから「Warm Heart of Africa」と呼ばれることがある。その名に恥じないほどマラウイ人の性格は温厚で優しく、村を歩いていても多くの人々が笑顔を向けてくれる。また対人関係を構築するうえで“挨拶”をすることがとても重要なものされており、職場に着いた際は朝の挨拶を同僚1人1人個別に回りながら行うことが基本とされている。
またマラウイ人にとって一番の娯楽はサッカーをすること、もしくはサッカーを観戦することであり、学校間の対抗戦も定期的に行われている。試合の際は多くの観客がグラウンドに集まり、選手に負けないほど熱心に試合を観戦している。そしてサッカーだけでなく他のスポーツの試合においても多くの場合勝利チームに賞金が用意されており、そのことが更に人々を熱狂させているように思う。経済的なインセンティブを伴うスポーツの実施は日本の教育現場においてめったに見られることはないが、対抗戦の賞金は学校の経費として使われており、考え方によっては生徒の一体感を増加させるための良い手段となっているようにも思われる。
報告書を書き終えて思ったことは
「まだ何もできていない」ということです。
学校隊員ということもあり、授業という必ずやるべきことがあるからよかったものの、
自分で課題を発見し、その解決に向け十分コミットできたかと言うとそうではありません。
現在派遣から4か月が過ぎました。
要するに派遣期間である2年間のうちの6分の1は終了しました。
時の流れる速さに焦りを隠せないというのが正直なところです。
焦るばかりでは何も生み出せないのは承知の上ですが、
それでも早いなと思わざるを得ません。
当面の目標としては、
受け持っている自分の授業は軌道に乗りつつあると感じているので
担当授業以外の何かに目を向け成果を上げることができればと考えています。
しかしその“何か”が分からず思い悩む今日この頃。
ゆっくりとした時間の流れるマラウイでありますが、
自分に与えられたタイムリミットの近づきも意識しつつ
今後の活動にも尽力して行きたいと思います。