派遣国紹介-数値データで見る世界最貧国マラウイ

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これまでも何度か書いてきたように、私は今アフリカ南東部の国マラウイに滞在しています。

しかしながら、マラウイといってピンとくる方はそう多くないはずです。最近では海外の国を取り上げたテレビ番組が増えたように思いますが、それでもマラウイという国の知名度はとても低い方だと思います。

今回の記事では私の滞在するマラウイについて、主に世界銀行のHP(http://www.worldbank.org/ 数値は2016年3月11日のもの) よりデータを抜粋して紹介し、2ヶ月滞在してのマラウイの発展に関する個人的な考察を述べたいと思います。

それにより読者の皆さまに「だいたいこんな感じの国なのかな」と、この国の大枠を想像してもらうことができたら幸いです。

そもそもマラウイってどこ?

マラウイはアフリカ大陸の南東部に位置する内陸国です。

日本から距離もあり、なおかつ面積は日本の九州と北海道を足し合わせたくらいの小国であるため、ご存知の方も少なかったと思います。

またGDP(国内総生産:国の経済規模を端的に示す値)が42.58億ドルと、日本の約1080分の1しかないため、アジアの東端に住む私たちからすると経済的にもほとんど存在感を感じられません。

マラウイと日本の繋がりに関して強いて言うなら、日本はタバコの葉っぱをマラウイから輸入しており、マラウイ国内でもJTI(Japan Tobacco International:いわゆるJT日本たばこ産業の海外版)のロゴのついたトラックを見かける程度です。

「途上国」という言葉の意味するもの

続けて色々なデータをのぞいてみましょう。

特筆すべきは国民1人当たりのGNI(国民総所得)です。

タイトルにもあるようにマラウイは世界最貧国、世界で最も貧しい国として知られています。その由縁が世界銀行のGNIによる国の分類です。

世界銀行は毎年7月1日(世銀の会計年度は7月1日から翌年の6月30日であるため)に、国民1人当たりのGNIの値をもとに世界の国々を低所得国・中所得国・高所得国などに分類します。

その分類では1人当たりGNIが1045米ドルを下回る国を低所得国とし、未だに多くの国、特にサブサハラアフリカ (サハラ砂漠以南のアフリカを指す)地域の多くの国がこの低所得国に属しています。

「途上国」という言葉は、明確に『どの国は途上国で、ここからはそうじゃない国!』と決まって使われるわけではないので、曖昧に使うこともできますが、少なくとも国際的に最も信憑性のあるデータを取り扱う世界銀行の分類において、この低所得国となっている国に対しては「途上国」いう括りで表現してもよいでしょう。

そして最新のデータにおいてマラウイは最下位、213か国中の213位でした。

つまり途上国中の途上国、それが世界最貧国マラウイです。

<国民一人当たりのGNI(US$)>

★1人あたりGNI:250米ドル

これがマラウイの国民1人当たりのGNIです。

日本を入れた方が比較対象となってわかりやすいかなと思ったのですが、マラウイのGNI規模が小さすぎて、もはやどこなのかわからなくなってしまいました。

こちらが日本を省いたものです。

<国民一人当たりのGNI(US$)>

比較対象としてサブサハラアフリカの途上国と、先程の世界銀行の分類による低所得国の平均値もグラフに表しています。

こうみるとアフリカ大陸内でもかなりの所得格差があることがわかります。

最新データではマラウイの1人当たりのGNI、つまり平均年間収入は250米ドルです。

1日当たりに使える額は 【250(米ドル) ÷ 365(日)】 で、およそ0.7米ドル(1ドル=120円とすると84円)のみです。

仮に日本人がこの額で生活しようとなると、いくらマラウイは物価が安いとはいえかなりの苦労を強いられることとなりそうです。

続けて見ていただきたいのが人口と平均余命です。

<人口総数(人)>

<平均余命(年)>

★人口:16700000人(日本のおよそ8分の1)

★平均余命:61年

人口はこんなにきれいに比例のグラフができあがるものかと思うくらいに一直線に右肩上がりで、平均余命も近隣国と比べて高くなりつつあります。

もちろん国としては国民が数的に繁栄して、しかもみんな長生きしてくれたら万々歳なのですが、それは同時に政府にとって『数多くの国民を、長く養わなくてはならない』ということにも置き換えることができます。

財政的に余裕のないマラウイにとっては手放しで喜べることではないことでしょう。

★電化率:9%

これはJICA職員の方から聞いた話からの情報ですが、マラウイの現在の電化率(電気を使用できる世帯の割合)はわずか9%のみだそうです。要するに国民の91%は電気を使わずに生活しており、使用できる世帯も多くは首都を中心とした都市圏に集中しているように思います。

これは地方に住む隊員としてもかなり納得できる数値で、夜になると街灯も町の明かりも全くないため本当に真っ暗です。そのため多くのマラウイ国民は明るい間しか行動できず、職場で「日本は深夜まで働いたり食事に出歩いたりするんだ」という話をするととても驚かれます。

これはマラウイの電化率の低さを表しているとも言えますが、反対に誰もが電気を使うことができ、深夜に一人で出歩ける日本の方が変わっているともとれるかもしれません。

根本的に考えてみた そもそもなぜマラウイは貧しいのか?

マクロデータを見てみるとほぼネガティブな情報ばかりが入ってきてしまいますが、現にマラウイという国が多くの困難に面していることは明らかです。統計データは改善が不可欠な社会体制を反映してはいるものの、何をしようにも現在の財政難に苦しむマラウイにとっては手の施しようがありません。

ここで「そもそもなぜマラウイはそんなにお金がないのか」という疑問について、自分なりにではありますが考察してみました。

理由は大きく分けて【地理的要因】と【心理的要因】の2つがあるように思っています。

【地理的要因】

・農業が中心の国(90%近くは農民)であるが肥沃でない土壌もよくみられる。

・農業が中心の国であるが灌漑がほぼ皆無であり、地形的にも一部地域にしか広げられない。

・特に今年であるが、気候変動の影響を大きく受けている。農業は天水に依存するしかなくたびたび飢餓に陥っているため、経済発展の妨げになっている。

・農作物の不作を防ぐため、政府は小農民に対し化学肥料の購入補助政策を展開しており、そのための予算も毎年一定量確保しなくてはならない。

・天然資源がなく、他国がマラウイに対して支援を行うインセンティブが少ない。

・観光資源も多いとは言えない。(少なくとも現在は上手くPRされていない。)

・内陸国であり物流面で不利と言わざるを得ず、企業的にもコストが高くて参入しづらい。国内で製造しようもクオリティは低くならざるを得ないので工場等も設置しづらい。

・気温が年間を通して暖かく、マラリア汚染地域である。またHIV/AIDSも蔓延している。

【心理的要因】(かなり私の主観を伴う考察となってしまいました)

・1964年の独立以後1度も戦争・内戦を経験していないマラウイ人の国民性は『平和主義・争いを好まない』ものであると言える。しかし同時に『闘争心がない』ようにもとれ、経済市場において遅れを取っていてもそこまで気にしていないように感じられる。(日本人なら、例えば戦後復興時代のように、逆境に立ち向かう精神がもっとあるように思えてしまう。)

・コミュニティ内での人的な距離が近く、困ったときに助け合うということが日常である。その影響もあってか、『お金のあるものが貧しい立場の人に施しを与える』という行為のハードルが低く(←大多数を占めるキリスト教のクリスチャニティーも影響しているか)、特に外人からお金もらうことは子どもでも当たり前だと思っている。その心理作用のためか援助依存・援助慣れの度合いが強いように思う。(データは古いが2012年度国家予算の4割が海外援助

・電化率が9%であることを考えると、テレビやインターネット等のメディアへのアクセスも多くなく、かつ海外旅行など行ったことのない人がほとんどであるため、他国の都市化の進み具合、生活水準を知るすべがない。よって自国の未開発の度合いを比較する対象がなく、国家の発展に対するモチベーションが高くなりにくくなっている。

特に後半は個人的な主張となってしまいましたが、これらの要因が少なからず影響し、経済的に成功しにくくなったのではないかと考えています。

財源がないからインフラも社会制度も整わず、教育面や医療面における施設投資・人材育成も手が回らないため、経済活動もなかない進歩が見られずさらに財政難に陥る…という連鎖の中に、この国ははまり込んでしまっているように感じてしまいます。

貧困⇒飢餓、不幸ではない?

ここまでネガティブなことを長々と述べてきましたが、フォローもかねて「経済的な貧困が必ずしも飢餓、国民の幸福度の低さを表しているとは言えない」ということを一言付け加えておきたいと思います。

貧困≒飢えた人がたくさんいる、といったイメージを持つ方もいるかもしれませんが、そんなに毎日毎日飢餓が起こっているわけではありません。

マラウイは1人あたりGNIが世界で最も低いと述べましたが、農民が90%近くを占めるこの国では現金収入が少なくとも日本ほど大きな問題ではないように思います。日本だと『食べ物=現金で買うもの』という概念が当たり前ですが、マラウイでは食べ物はある程度自給自足で賄うことができます。

よって生きていく分の食料を確保するという場合においては、マラウイの方が日本より圧倒的に現金収入に頼らずとも容易に確保できます。(しかも日本だと農作物の価格がとてつもなく高くつく。)

またお金がないからと言って不幸であるとも限りません。

途上国に行った人であればおわかりいただけると思いますが、貧乏でも服がボロボロでも、これでもかというくらい素敵な笑顔に出会うことが、もしかすると仕事に四六時中追われた日本よりも多いかもしれません。

そして最近よく日本の話を同僚に聞かれますが、日本の自殺者数の多さについて話した際「日本には行ってみたいけど、住みたくはなくなってしまった」と言われたこともありました。日本の社会について話をしていると、金銭的な豊かさだけが人の幸せを形成するわけではないことをよく実感します。

たしかにマラウイの抱える問題は山積みですが、その素敵な笑顔から力をもらって、1つずつ課題を乗り越えていければいいのかなと思っております。

この記事のまとめ!

・マラウイは世界最下位の1人当たりGNI を以てして世界最貧国であり、他にも数多くの問題を抱えている。

・経済発展を妨げる理由は様々なものが考えられるが、経済的な進歩だけが全てではない。

(こんなに長い記事に最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございます。次回からはもっと端的に記事をまとめられるように心掛けたいと思います。)

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