学校勤務開始から1ヶ月 見えてきた8つの課題

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前回の記事ではだんだんとわかってきた赴任校の様子を紹介しました。

(その記事がこちら→ 任地紹介-マラウイの学校事情と赴任校の様子

しかしこれまでの期間、ただただ様子を見極めていただけではありません。マラウイの教育事情やこの学校に関する情報を収集しつつ、次の行動について考えを張り巡らせてもいました。

今回の記事では現段階で私がわかっている、もしくは私が勝手に思っている課題についてまとめてみたいと思います。

また次回の記事にて、どのように活動していくかについても考えてみたいと思います。(書いているとつい長くなってしまったので、2つの記事に分けさせていただきます)

その際にどのような観点からでもいいので私の考えや今後の方針についてのアドバイスを頂けたら大変嬉しいです。

マラウイの学校で感じたこと

まだ赴任してから1ヶ月ですが実際に見たり聞いたり体感したりしたもので8つ、「どうにかならないかな」と思ってしまう点がありました。

これらを教育のプレイヤー側の課題と教育のマネジメント側の課題の2つに分類し説明したいと思います。

いきなり教育のプレイヤー側やマネジメント側といった言葉を使ってしまいましたが、ざっくりいうとこれらは 教育現場にいる人 と いない人たち を区別しています。

今回の記事においては、具体的に

  教育のプレイヤーたち   =  学校に通う生徒, 教師, 学校長

  教育のマネージャーたち  = 教育委員会, 教育省, 政策策定者

と区切って、それぞれの抱える課題を説明してみたいと思います。

【プレイヤー側の課題】教育現場内の3つの問題点

教育現場にいて感じたことは以下の3点です。

 ➀ 時間を守らない

 ② 生徒に容赦のない時間割

 ③ 不十分な教材・教具

これらを順に説明したいと思います。

  ①時間を守らない

これは生徒・先生の両者に共通して言えることですが、マラウイの人々はとにかく時間を守りません。もちろんこれはマラウイに限った話ではなく、多くの途上国で日本人が感じていることだと思います。

特に朝の1時間目の授業は生徒の出席率も悪いだけでなく、そもそも先生が現れないこともしばしばです。

    (始業の時間を過ぎても職員室に誰も現れない光景はもはや見慣れてしまった)

  ②生徒に容赦のない時間割

生徒が授業に遅れるのは時間割にも原因があるように思います。私の勤務する学校では7:30から学校が始まるのですが、そこから連続して5コマの授業があり、僅か30分の昼休みを経て最後の9時間目まで続けて授業があります。

 (始業から昼休みまで200分休憩なしで授業が続く時間割(上部に時間が記載されている))

もはや5分くらい遅れて授業を開始してあげるのが礼儀なのかもとも思えてしまいます。

理科室への移動やトイレに行くことも考えるとこのスケジュールには無理があります。(マラウイ人の教師が基本的に遅れていくことを前提としているのかもしれませんが。)

何よりこのスケジュールで本当に最後まで授業を集中して聞くことができるのかという疑問もあります。

時間割は政府ではなく学校が決めてよいものとされているらしく、一応学校長の権限で変えることも可能なようです。

  ③不十分な教材・教具

マラウイに来て授業の中で1番不便に思うことは生徒が誰一人として教科書を持っていないということです。

日本なら気軽にできる「この図にあるように…」といった説明は一切できません。

特に私の教える化学や物理は、目に見えない現象をいかに教えるかということがカギになってくると思っています。

ただでさえ目に見えない原子や分子の微視的な挙動を、イラスト等を用いずに文字だけで理解するのはかなり難しいことだと思います。少なくとも私が生徒なら拒否反応を示して、物理や化学のことが嫌いになるでしょう。

教科書以外でも授業で使えそうなもの、例えば黒板で使う三角定規やコンパス等もあまり見かけません。

その割に理科室はすごく充実しているので、うまく活用したいと思っています。

【マネジメント側の課題】教育を外部から整える側の5つの問題点

また教育現場外にも以下の5つのことに関して改善が必要なのではと感じています。

各種統計データが明らかに正確でない

学校施設・教員数の不足

教科書の質

膨大な量のシラバス

政府から各学校への物資割り当ての不適切さ

これらも上から順に説明します。

  ④各種統計データが明らかに正確でない

これはJICAの職員の方も言っていたことなのですが、マラウイは政府の測る統計データでさえ信憑性が極めて低いです。もしくは値によっては統計データが示されていない場合すら多くあります。

国際機関や政府はこういったデータを参考にオペレーションの方針を決めているのに、これでは正確な判断がしづらくなるように思います。

  ⑤学校施設・教員数の不足

以前の記事で紹介したように、近年のマラウイの人口増加は著しく、特に若年層の人口は既存の学校施設で収容しきれないほどの数となっています。

そのため小学校では1人の教師あたりの生徒数、1教室あたりの生徒数が200人を上回ることもあるそうです。

現在もJICAや他の国の機関のプロジェクトの一環で学校建設や教員養成大学の増設が行われていますが、それも追い付いている感じはせず、そもそも予算の多くを外部に依存している事実も否定できません。

  ⑥教科書の質

マラウイに来てからいくつかの教科書を見ましたが、たまに本当に専門家が作っているのかと疑いたくなるような教科書も見られました。

例えば下の写真にある教科書ですが、単元としてはエネルギーについて習っているところで「再生可能エネルギー」と「枯渇性エネルギー」について書かれています。

そこでは原子力エネルギーを再生可能エネルギーと紹介されているのですが、これは明らかな間違いです。原子力発電は温室効果ガスの排出がないとされるものの、ウラン等の有限な地下資源を必要とするため枯渇性エネルギーに属するはずです。

こういった間違いや曖昧な表現が何度か見られたため、私としては何冊かの教科書を併用して授業準備をするよう心がけています。

加えてこちらの教科書は基本的に文字が多く、イラストや写真はあまりないため勉強のモチベーションも保ちづらいように思います。いかに日本の教科書がカラフルでわかりやすいかということをマラウイに来て思い知らされました。

 (最近教えている有機化学のページ  文字が多く、イラストや写真はあまり見られない)

  

  

  ⑦膨大な量のシラバス

マラウイのシラバスは膨大な量を履修するよう要求してきます。そのせいか教科書もすごく厚いです。

    (左がマラウイで使っている教科書  右は私が高校の時に使っていたもの)

写真は私の受け持つForm3(日本の高校2年生に相当)の教科書ですが、1年分の教科書なのにも関わらず総ページ数が376ページに及び、もう少しコンパクトにまとめてもいいのではと感じてしまいます。

    (376ページもあると当然厚くて重い)

そして私はマラウイ人の先生から授業を引き継いだのですが、受け持った段階で予定より10コマ分ほど授業が遅れているということが判明しました。残り1学期でその分を凝縮して伝えなくてはならないため、正直かなり焦りを感じています。

  ⑧政府から各学校への物資の割り当ての不適切さ

マラウイ政府が用意しているのか他国からの支援なのかは定かではありませんが、各学校は政府から不定期で物資の支援を受けているようです。

しかしその支援が学校側のニーズを満たしているように思えません。

下の写真は私の勤務する学校のものではないものの、政府からの贈り物が全く使われずに倉庫に眠ることも起こっています。

         (使用されずに倉庫に置かれるだけの真新しい机)

学校側としては無料で送られてくるためもちろん拒まないものの、使わずに倉庫に眠るものも少なくありません。

どのようにして送られてくるものが決まり、どういったプロセスを経て学校が受け取るのか、このあたりを調べて改善することが出来たなら、援助物資の需要と供給をもっとマッチさせることができるように思いました。

  (物理の自由落下の実験器具が山のように理科室に眠る これほどは必要ないと思ってしまう)

今後について

以上が現時点で私の感じている8つの課題です。しかしこれは氷山の一角であるように思います。何度も言うようにこれらは学校勤務1ヶ月の私が見聞きし、体感したポイントをまとめたものです。他の隊員に話を聞けばもっと色々なことがあるかもしれませんし、私自身もこれからもっと様々な問題に直面していくと思います。(何やら粗さがしを続けるようでいい気分はしませんが…)

とは言え、これらをもとに今後の行動の方針について、次回の記事にて少し考えをまとめてみようと思います。もちろんその方針は変わるかもしれませんが、期末テストも終わり2週間の休みに入ろうとしているこの時期はタイミング的にも目標設定に良い頃だと思います。

マラウイ到着から2ヶ月、学校赴任から1ヶ月が経ちました。残り1年と10か月しかないと思って、常に目標を持ち教壇に立てればと思います。

この記事のまとめ!

・マラウイには教育のプレイヤー側、マネジメント側のどちらにも課題が存在している

・これらの情報をもとに次回の記事にて今後の方針を定める

いいね!をもらえると
すごく嬉しいです

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